分譲マンション
Q マンションを購入したところ、欠陥があるのですが、解除できますか?
解除には時効がありますか?
私は最初に分譲したときの買主から譲り受けたのですが、この点は何か問題になりますか?
分譲した業者だけでなく、請負業者(施工業者)にも請求ができますか?
A 1.売主の瑕疵担保責任に基づく解除

  マンションの分譲は、法律上、売買であり、マンションに隠れた瑕疵があり、
  「契約をなした目的を達することができない場合」には、買主は売主に対し、
  瑕疵担保責任に基づく解除をすることができます(民法570条、566条1項)。
  「契約をなした目的を達することができない場合」に該当するか否かは、
  欠陥の部位や程度によって決まります。
  解除ができない場合は、修理費用等を債務不履行(民法415条)に基づく
  損害賠償として請求することになります。


2.時効(除斥期間)


  1)売主の瑕疵担保責任を追及できる期間は、買主が欠陥の事実を知ったときから1年です
   (民法570条、566条3項)。
   1年以内に売主の責任を問う意思を裁判外で明確に告げれば良く、
   1年内に裁判を起こすことは必ずしも必要ではありません。
   売主が宅地建物取引業者である場合は、この期間は最低2年になります
   (宅建法40条。責任期間を2年以内とする特約をしても無効です)。

  2)平成12年4月1日以降に新築マンションの分譲を受けた場合は、
    品確法(住宅の品質確保等に関する法律)が適用されるので、
    「構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分」に欠陥がある場合は、
    瑕疵担保責任の存続期間は10年になります。


3.不法行為による損害賠償請求

  時効により瑕疵担保責任による解除ができない場合でも、不法行為に基づく
  損害賠償請求は可能な場合があります。
  この場合の時効期間は、瑕疵を知った時から3年です。


4.原告適格

    1)裁判を提起することができる資格を原告適格といいます。

     分譲マンションに欠陥がある場合、分譲時の買主が原告適格を有することは
     もちろんですが、分譲時の買主から購入した人は、分譲業者と直接売買契約を
     したわけではありませんから、
     自己に対する売主(分譲時の買主)に対する関係では原告適格がありますが、
     分譲業者に対する関係では原告適格はありません。
     分譲時の買主から購入した人が分譲業者に対して裁判を起こすには、
     分譲時の買主から、契約上の地位または瑕疵担保責任を追及する権利の譲渡を
     受ける必要があります。

    2)平成14年の法改正により、マンションの共用部分の欠陥について
      損害賠償を請求する場合、
      マンションの管理者(管理組合等)にも当事者適格が認められました
      (区分所有法26条4項)が、管理者が当事者適格を有するのは、
      裁判を提起する時点における区分所有者の損害賠償請求に限られます。
      本問の場合、分譲当初の買主は裁判提起時点では所有者ではなく、
      現在の所有者は分譲業者に対して直接損害賠償を請求する権利はないので、
      管理者は当該区分所有権の分については裁判を提起できないことになります。


5.請負人(施工業者)に対する請求

  分譲マンションで、建築主と請負人とが別人である場合は、
  買主は請負人と直接の契約関係がありませんので、契約に基づく請求
  (瑕疵担保責任の追及など)はできません。不法行為に基づく損害賠償請求を
  行うことになります。
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